インタラクティブの流儀 ブランド価値を高めるネット広告クリエイティブ

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インタラクティブの流儀

を読む。帯にはこう書かれている。

Webサイトのつくり方がガラリと変わる。
トップクリエイターたちが明かした、最先端Webコミュニケーションのノウハウ

コピーからの先入観からか、横組み・カラーページ・図や画面がいっぱい、の本を想像していた。が、開いてみたら縦組み・モノクロ・文字いっぱいだった(笑)。でも、期待以上の裏切りだった(このページから立ち読みが出来る)。

この本はドキュメンタリーである。Webサイトの制作に携わった人たちの「流儀」と制作の過程を詳細に記録している。Web関連でここまで丁寧に追跡したものを読んだのは初めてだ。読んでいるときの臨場感は、あの番組情熱大陸のそれに似ていた(脳内では、場面場面でそれっぽいBGMが流れたりして)。

紹介されているWebサイトは、僕も何度も見たことのある素晴らしいサイトばかり。

以下は、付箋を付けた膝ポンな箇所。

資生堂ウェブサイト p.102
ハード面の環境面での制約から解放されたウェブサイトの前に企業が発信者として立つとき、何でもできるようになったからこそ、「己は誰だ」という問い掛けに直面することになった。そこに対する誠実な解答が、独自のコンテンツとなって企業を充実させ、前に進ませる。ウェブサイトの人気コンテンツとは、面白おかしいゲームや、トリッキーなアイデアばかりではない。企業の歴史や社風を素直に反映したものこそが、他ではマネができない「取り換え不可能なコンテンツ」となる。

「『誰もやっていないことをやろう』というパイオニア精神のもとで実現したことを、余すことなく自分の言葉で書くこと。+ビジュアル表現」が一番のSEOだと思うこのごろ。意図的にキーワードを埋め込み、被リンクの数を大人の力で集めるのは、農薬と肥料に依存した農業のようだ。Googleは、コンテンツの魅力で被リンクを集めているWebサイトを優先的に検索結果の上位にするアルゴリズムになっていると感じるし、これからも「自然栽培」を推奨する方向性に変わりはないはずだ。

ハインツ日本 p.146
「松永さんとよく話しながら制作し、彼が納得できるものを作れば、社内のネゴシエーションは彼が責任を持ってやってくれる。そこから話が差し戻されたり、作業がやり直しになることはまずない。それは本当にやりやすい体制です。」

松永さんはハインツ日本(クライアント側)のウェブサイト担当者。ナガオカケンメイさんのブログで「いいデザイン」を生むには、(クライアントとデザイナーの間に)健全で明るく良好な関係はぜったい必要だ。と読んだが、まさしくそのこと。

ハインツ日本 p.155
ウェブサイトをセールスプロモーション的に捉える発信側は、「要素を目立たせる」方向に走る。その結果、さまざまなアイコンや色彩が押し込まれた状態になり、雑然としたチープ感や、情報の送り手の都合が前面に出てきたプッシュ型になる。受け手の感受性に添ったものにする気遣いは優先順位の下に置かれ、「もっとたくさんのバナーを。訴求ポイントを大きく。大きな文字。目立つ色で。目を引くアイコンをつけて」という方向にエスカレートしていく。 それに対してイマジナティブチームが提案したのは、「かなり白っちゃけた画面」(深澤)だった。 (中略) 「こういう画面を提案すると、普通は『さみしい。地味。大人しい』というように、ネガティブに受け取られがちです。だから提案をしてみても、普通の担当者だと難色を示す。『もっとボタンを3Dみたいにつけられませんか』などと、ひとつひとつのオブジェクトを前に前に出そうとする。(中略)でも松永さんはウェブサイトに対して目が肥えていますから、僕らの提案をよく分かってくれました」。

利用者の気持ちが分かるクライアントさんと、どう出会うか。良い仕事をし続けるのが近道なんだろう。誰かが分かってくれないという不満は、自分の未熟さそのものと考えよう。もし今のクライアントに不満がある場合でも、愛し愛されているのなら説得する価値があるだろう。が、そうでもない場合は別れた方がお互いにハッピーだ。

ハインツ日本 p.161
ウェブサイト構築の場合、公開日に間に合うようにすべてを構築し、その後に検証や、変更がなされないというのが通常のパターンですこれを一気に作るウォーターフォール(滝)型と言いますが、ハインツ日本の場合はスパイラル(螺旋)型に進んでいきます。松永さんを中心として、『こんなふうに作ってみました。見てください。どうですか』と、やり取りしながら進んでいく。それはとてもいいことです。なぜなら後戻りできるから。後戻りして、やり直し、少しずつ変更を加えながら、ステップアップする。制作者にとって、これは贅沢な環境かもしれません。時間は相当かかりますが、目指したい方向に確実に進んでいくやり方です」。

「はいっ、仕様通り完成しましたっ。納品ですっ。請求書ですっ。入金よろしく!じゃっ!」という状況は寂し過ぎる。そうならないためには、よい状況を保てるクライアントさんに出会えるよう自分を高めること。

p.188
「逆さケチャップ」サイトのように、ユーザーにとって目新しいインターフェイスの場合、内容の全貌がユーザーに理解されていないことがある。だから正式公開前の仮公開時に、アクセス解析を徹底して行い、最後の調整をする。 サイトに入ってきてからのユーザーの動きは、フラッシュコンテンツでも何秒後に何をクリックしたかということなどまですべて記録される。それを後追いすることで、ユーザーが気づいていない事柄が浮かび上がる。機能が付与されているのに、クリックされていないボタンの存在。表示された動画をユーザーは通常見慣れたサムネイル画像だと思ってしまうのでクリックしようとしないこと。対応策として、画像へ意識を向けさせるため、吹き出し形式でコメントをつけた。こういった改良を重ね、完成度を高め、正式公開に向かった。

「これで完璧」と思ったものも、実際に人が使う段階で不具合が見つかるもの。画面の向こう側の人の動きに配慮して、すぐに改善(=improvement)する。それが出来る状況をつくりたい。

* * *

以上、今の仕事に対してモチベーションが非常に上がった本。

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